ヘコアユ。トゲの曲がり方がそれぞれ違う
ナイフのような体型で、いつも口を下にしている。真上のトゲが背ビレの第1棘で、ヘコアユのそれには関節があって曲げられるのに対し、ヨロイウオには関節がなく、緩やかにカーブしている。
ヨロイウオ(コモド諸島)
ヨロイウオの写真が載っている、日本の魚類図鑑はほとんどない。『日本の海水魚』(山と渓谷社)には載っているものの、精査が必要とある。また、ヨロイウオの体側には褐色の帯はないと書かれている。この記述が、我々ダイバーを惑わせることになったようだ。また、沖縄本島東海岸の砂泥底には多く生息しているとあるが、その割には発表された写真を見たことがない。
ヨロイウオと図鑑の写真。下がヨロイウオ
マレーシアやインドネシアでヨロイウオと思われるものを撮影した。背ビレのトゲには関節がないように見えるが、体側の褐色の帯はある。'84年に発刊された『日本産魚類大図鑑』(東海大出版会)を見て、もしかしてと思った。図鑑の写真は標本で、確かに褐色の帯はない。背ビレのトゲも欠けている。標本なので、帯は消えた可能性が高い。
両種が混泳?(マブール島)
神奈川県立生命の星・地球博物館の魚類写真資料データベースで、ヨロイウオを検索してみたら4点出てきた。そのうち日本で撮影された写真は紀伊半島と西伊豆の2点だけ。ちなみに褐色の帯はあった。海外の図艦でも褐色の帯はちゃんとある。やはり図鑑の解説は標本を見て書いたのだろう。
クルーズで出会ったヨロイウオ
インドネシア・フローレス島の東側の港からアロール島までクルーズしたことがあり、その途中でヨロイウオに出会った。気になっていた背ビレのトゲをじっくり観察したら関節はなく、どれも同じようにカーブしていた。問題の褐色の帯は入っているが、ヘコアユと比べると少し波打つような感じなので、相違点はトゲと帯ということがわかった。