サンゴ礁の海で出会うウミガメは、大部分がアオウミガメとタイマイだ。タイマイは顔が細くて口先が尖っていること、甲羅の縁の後方がギザギザになっているのが特徴。甲羅はべっ甲細工として櫛や帯留め、メガネの縁などに利用されたため、乱獲されて絶滅危惧種になり、ワシントン条約によって商取引が禁止されてる。
タイマイ(座間味)
座間味島やコモド諸島ではタイマイがよく見られる。絶滅危惧種とは思えないほどだ。一方、不思議なことに奄美南部ではアオウミガメばかりで、タイマイを見た覚えはない。アオウミガメのエサは海草なのに対し、タイマイはカイメンが主食。補助的にホヤ、藻類などを食べるといわれている。アオウミガメは岩陰で眠っていたり休んでいることが多いが、タイマイはそんなことはない。常に食べものを探し、見つけては食べている。
岩のすき間に顔を突っ込んでエサを食べるタイマイ(コモド)
エサ探しに熱中するあまり、サンゴを壊すこともよくある。初心者ダイバーが壊したとばかり思っていたが、タイマイも犯人(?)だった。岩のすき間から強引に食べものを引っ張り出すため、砂煙や音が出る。したがって他の魚たちもエサを求めてやって来る。
食べているとサザナミヤッコもやって来る(座間味)
何を食べているのかじっくり観察したことがあるが、よくわからなかった。カイメンが好物といっても、我々が知っている大きなものを食べているのは見たことがない。死サンゴなどに付着している小さなものを食べているようだ。
死サンゴを食べる。カイメンやホヤが付着しているのだろう(座間味)
花びらのような触手が伸びている生物を食べているところを見たことがある。いったい何なのか調べたら、ウミヅタ科のツツウミヅタだった。分類的には八放サンゴ類で、ウミトサカに近い。そういえばコモドでウミトサカを食べていたのを目撃したことがあった。
ツツウミヅタを食べる(座間味)
タイマイがエサを食べているときは夢中になり、ダイバーが近づいても気にしない。したがって無防備な体勢になることもしばしば。そこがタイマイのいいところなのかもしれない。
食いしん坊バンザイ(座間味)