ヒメウツボが日本の図鑑に登場したのは'94年発刊の『日本産魚類生態大図鑑』(益田一/小林安雅著、東海大学出版会)。まだ和名がなくウツボ属の一種だった。海外ではゴールデンモレイと呼ばれている。生息数が少ないことや警戒心が強いため、見られる機会はそう多くない。
茶色いヒメウツボ(慶良間)
これまで出会った海を思い出してみると、慶良間、奄美、柏島のみ。慶良間や奄美では砂地にある根で見られた。ヒメウツボの通常の体色は茶色だが、黄化個体と比べるとかなり少ない。ゆえに「通常」はふさわしくないかもしれない。茶色い個体は慶良間で2~3回しか出会っていない。
だいたいこんな感じ(奄美)
ヒメウツボは臆病なので、いたとしても穴から出てこないことも多い。
いい表情をするときも(奄美)
しかし個体によっては大胆なものもいる。時にはこんな表情を見せてくれる。
茶色い個体は幼魚期、あるいは地域変異で温帯域に生息するものなどといわれることがある。真意のほどはわからないが、柏島で出会ったヒメウツボは成魚の黄化個体だった。