大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

冬が繁殖期のヒレグロベラ

冬期に繁殖するのはアイナメやアナハゼ、ホテイウオなど寒帯の海がルーツの魚がほとんど。熱帯の海がルーツの魚は初夏~夏の場合が多い。
 

外見では雌雄の区別は難しいヒレグロベラ                                        
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1年中繁殖する魚もいるが、水温がほぼ変わらない熱帯域に分布する場合に多く、日本ではクマノミやハゲブダイなどごく限られた種だけだ。









ヒレグロベラのメス
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ヒレグロベラの繁殖期は、例外的に冬のシーズン。そのことを知ったのは10年前くらい前で、お正月に座間味でヒレグロベラを撮影していたときだ。










婚姻色でアピールするオス
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別の個体で、顔の縞模様がはっきりしたヒレグロベラがやって来た。撮影していたのはメスで、やって来たのはオス。顔の縞模様は婚姻色だからなのだろう。メスに急接近したり、離れて中層で体を震わせて泳いだりの求愛を盛んに行う。それに惹かれたメスはゆっくり上昇した。






産卵上昇するペア
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オスはすかさずメスに接近し、寄り添いながら上昇。産卵の瞬間を撮影しようと追いかけたら、2尾は離れて海底に戻ってしまった。警戒心が強いメスが怖がったのだ。だが、再びオスの求愛によって産卵上昇し、放卵・放精が行われたのだった。しかし今度は躊躇したため、瞬間は撮れなかった。






全長約3cmヒレグロベラの幼魚
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ヒレグロベラの近縁種のキツネベラは沖縄では少ない。にもかかわらず、幼魚はよく見られる。反対に成魚は普通なのに幼魚は見られないのがヒレグロベラだ。なぜだかはわからない。ちなみにキツネベラの幼魚は、尾柄部に黒斑がない。