大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

人気の被写体・ヨスジフエダイ

フエダイ科のヨスジフエダイは全長30cmになるようだが、通常見れれるのは20cmくらいのものが多い。千葉県以南の西部太平洋、インド洋に分布する。主にサンゴ礁の周辺で群れている。黄色味が強いため海中でよく目立つうえ、さほど警戒心は強くないので絶好の被写体になり、ダイバーの人気度は高い。

群れて行動するヨスジフエダイ(座間味、下はモルディブ

 

黄色地に水色の帯が4本入っていることが和名の由来で、さらに腹部の白い部分に茶色っぽくて細い線が数本あるのが本種の特徴。近似種のベンガルフエダイにはないので区別がつく。

ヨスジフエダイの特徴の腹部の線(座間味)

 

ヨスジフエダイを初めて見たのは、70年代後半の座間味島だった。ちょうど餌付けが流行り出したころで、冷凍サンマをエサにすると多様な魚が集まる中、ヨスジフエダイも来ていた。「漁礁」というポイントでは長年餌付けが続けられたので、メタボのヨスジも激増した。その後、餌付けは生態系に悪影響を及ぼすため、禁止になった。

丸々としたヨスジフエダイ(座間味、1989年)

 

ヨスジフエダイの幼魚は、転石帯の根の周辺に数尾で群がっている場合が多いが、一部は黒潮によって伊豆方面へ運ばれる。その年によって数が多いこともある。群れのものは、今見ると顔の辺りがベンガルフエダイのような気もする。1か月後に同じポイントで撮ったのが小枠の写真。こちらは明らかにヨスジフエダイだが、当時ベンガルフエダイを知らなかったので、ちょっとした違いに気づかず、今となっては後の祭り。

15cmの若魚の群れ(富戸、199810月、小枠は同年11月)

 

先述したように本種はさほど警戒心が強くないので、いろいろなアングルで撮ることも可能。真正面から狙ってもおもしろい。カメラを持ったダイバーをいろいろ楽しませてくれる魚だ。

正面から狙うのも比較的簡単(座間味)