大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ヒフキアイゴ 黒い斑紋の意味?

アイゴ科のヒフキアイゴは全長約25cmで、琉球列島やフィリピンなどに分布している。サンゴ礁域をペアで行動していることが多い。口は突き出ていて、目を通る黒い帯があり、黄色の体側には黒い斑紋が入っている。その斑紋はそれぞれ異なり、同じものはない。

群れることは珍しいㇶフキアイゴ。黒の斑紋はみんな違う(座間味)

f:id:youjiuo:20210607174541j:plain

 

黒の斑紋が異なる理由はなんだろうか。通常はペアで行動するので、個体識別のためと考えるのが妥当だろう。そうすると気になるのが反対側の斑紋だ。両側を撮影するのは意外に難しい。嫌がって逃げるのだ。何とか撮ったのがこれ。おおむね同じだった。

同一個体の斑紋(座間味)

f:id:youjiuo:20210607174635j:plain

 

しかし1個体や2個体ではデータが少ない。機会あるごとに撮影した。7月は産卵を控えてメスの腹部が膨れていることがある。後ろから撮れば両側の斑紋が写るのではと思って挑戦した。

腹部が膨らんでいるお陰で両側の斑紋がわかる(座間味)

f:id:youjiuo:20210607174729j:plain

 

通常は斑紋が一つだが、個体によっては二つの場合もある。この個体は二つあり、珍しいので前にも出会ったことが記録してあった。同じポイントで3年前はペアでいたが、このときは単独だった。反対側を見たら小さな黒斑はなかった。ごくまれに左右の斑紋が違うこともあるようだ。

同一個体の斑紋。違う場合もある(座間味)

f:id:youjiuo:20210607174822j:plain

 

いずれにしても、斑紋は識別のためだろうが、時折斑紋が乱れている個体に出会うこともある。どうしてこんな斑紋なのか知る由もないが、こうした個体は単独でいるケースが多く、また警戒心が強いため、反対側は確認できなかった。

乱れた斑紋の個体(左は奄美、右は座間味)

f:id:youjiuo:20210607174921j:plain