大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

映画~消えゆくサンゴ礁~を見て


先週、逗子文化プラザで開催された環境問題のセミナー&上映会に行った。上映された映画は「チェイシング・コーラル~消えゆくサンゴ礁~」で、2017年アメリカの作品。

海水温の上昇によってサンゴの白化現象が世界中で起きているが、この映画ではその現象を捉えようと、ダイバー、研究者、写真家のチームが数々の困難を乗り越えて撮影したドキュメンタリー。

 

上映会にて

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この映画は日本では劇場未公開で、ネット(NETFILIX)での配信のみだった。そのためあまり話題にならなかったが、昨年国際サンゴ礁年だったこともあり、各イベントで上映されたようだ。

タイトル

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映画はとても素晴らしく、ドキュメンタリーの手本のようだった。制作側は、サンゴ礁の減少をグラフや数字では理解されない。そこで映像で訴えようと考え、定点撮影をして健康なサンゴが死んでいく過程を見せることを計画。当初ハワイの数か所のポイントにカメラを設置して自動撮影を始めた。

 

ガレキになったサンゴ(映画の1コマ)

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だが、予想に反して水温が上昇しない。調べた結果、リザート島(豪)で可能性が高いことがわかり、設置したカメラを放置して移動。時間がないためだ。リザート島でも同様に撮るには数か所のポイントに毎日潜って同じ位置から手動で撮影しなければならない。それでも気が遠くなりそうな困難な撮影を終えた。同じサンゴが2か月で枯枝のようになる凝縮された映像は、誰が見ても感動するだろう。

 

ビフォー・アフター。短期間でこんなに変化した

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また、サンゴが蛍光色になる現象もニューカレドニアで撮影している。蛍光色に発光するのは白化する過程で最後の防御策として化学物質を作り出し、「日焼け止め」のような役割があるとか。しかし、このような現象に関しては誰も知らなかったらしい。最後にサンゴ学者のベロン博士が話した「あの頃はサンゴ礁は永遠にあると思っていた…」が印象的だった。

この映画は、NETFLIXに登録すれば今でも見られるようだ。


蛍光色になったニューカレドニアのサンゴ

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