大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

かつては日本固有種・レンテンヤッコ

キンチャクダイ科アブラヤッコ属のレンテンヤッコは、温帯に適応した種。相模湾以南~奄美大島、伊豆諸島、小笠原諸島に分布する。かつては日本固有種だったが、'81年にアメリカ領ミッドウェイ島のクレ環礁で若魚が発見され、固有種ではなくなってしまった。


レンテンヤッコ(式根島

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銚子沖付近で黒潮が東にカーブするので、その流れで分布が広がったのだろう。三宅島や八丈島小笠原諸島に多く生息している。











レンテンヤッコのハレム(八丈島
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同属他種と同様に、1尾のオスが数尾のメスを支配するハレムを形成する。体色は個体によって変異があるが、幼魚やメスは顔付近が黄色もしくはオレンジ色の場合が多い。










縞模様が顕著なオス(八丈島)                                             

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オス、メスともに尻ビレ後端に縞模様がある。メスはそれだけで、オスには背ビレ後端にも同様の縞模様があり、顔は青っぽいのが特徴。











全長約4cmの幼魚(富戸)                                           

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幼魚は背ビレの後方に青く縁取られた黒斑がある。成長に伴って薄くなり、やがて消失する。伊豆半島には成魚も時折姿を見せるが、たいがいは幼魚だ。










サンゴ礁との組み合わせは珍しい(奄美)                                             

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南限の奄美大島では成魚も幼魚も見られる。そのことから繁殖も行われていると思われる。沖縄には分布しないが、以前慶良間に出現して話題になった。