大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

完璧なそっくりさん

 
擬態で有名なのはニセクロスギンポ。ノコギリハギもそうだが、今回はクリーニングをすることで天敵がいないホンソメワケベラに擬態する、ニセクロスギンポを取り上げたい。


モデルのホンソメワケベラ(左)と擬態種                                           

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擬態とは、当然の理由(有毒など)があって捕食者から避けられる動物(魚)を真似て恩恵を受けている現象のこと。前者をモデル、恩恵を受けるほうを擬態者(種)という。











セクロスギンポの幼魚。下はモデルの幼魚
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昔、ニセクロスギンポの幼魚がよく知られていないころ、幼魚期もモデルの幼魚と似ていたらすごいと思っていたら、そっくりだった。イソギンポ科とベラ科で分類的にはかなり離れているのに、不思議だ。










ヒレを広げることが多い
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いくらそっくりといっても違いはある。口の位置や背ビレの大きさなどだ。各ヒレをよく広げるのもニセクロスギンポの特徴。ホンソメワケベラはめったに広げないので、右の写真は一瞬広げた貴重なシーン。










巣穴から顔を出すニセクロスギンポ

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また、ベラ科は巣穴を持たないのに対し、イソギンポ科は持つ。本種も例外ではない。都合が悪くなると逃げ込んだり、産卵を行ったりする。











群がることがあるニセクロスギンポ
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ホンソメワケベラは1尾のオスがハレムを形成し、支配下にいるメスは3尾くらいが通常。したがって、集まってもせいぜい34尾だ。ところがニセクロスギンポ10尾以上群がることがある。恩恵を受けて益々勢力を広げ、群がりもさらに増えるのではないだろうか。