モデルのホンソメワケベラ(左)と擬態種
擬態とは、当然の理由(有毒など)があって捕食者から避けられる動物(魚)を真似て恩恵を受けている現象のこと。前者をモデル、恩恵を受けるほうを擬態者(種)という。
昔、ニセクロスジギンポの幼魚がよく知られていないころ、幼魚期もモデルの幼魚と似ていたらすごいと思っていたら、そっくりだった。イソギンポ科とベラ科で分類的にはかなり離れているのに、不思議だ。
ヒレを広げることが多い
いくらそっくりといっても違いはある。口の位置や背ビレの大きさなどだ。各ヒレをよく広げるのもニセクロスジギンポの特徴。ホンソメワケベラはめったに広げないので、右の写真は一瞬広げた貴重なシーン。
また、ベラ科は巣穴を持たないのに対し、イソギンポ科は持つ。本種も例外ではない。都合が悪くなると逃げ込んだり、産卵を行ったりする。
ホンソメワケベラは1尾のオスがハレムを形成し、支配下にいるメスは3尾くらいが通常。したがって、集まってもせいぜい3~4尾だ。ところがニセクロスジギンポは10尾以上群がることがある。恩恵を受けて益々勢力を広げ、群がりもさらに増えるのではないだろうか。