大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

チンアナゴの産卵について

きのうNHKで、水族館の人気者が産卵したというニュースを報じていた。水族館の人気者とはチンアナゴとニシキアナゴのこと。

チンアナゴ産卵のニュース
 
                     
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東京スカイツリーにある「すみだ水族館」で、これらのアナゴの産卵を観察・撮影したのだ。ウナギ目(ウナギ類、アナゴ類、ハモ類、ウツボ類などのグループ)の産卵はあまり知られていないので、繁殖生態の解明に期待が集まっている。





ニシキアナゴの産卵の様子
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すみだ水族館が撮影した映像が放送されたのはニシキアナゴで、夜中にメスが巣穴から出て卵を産み、その直後に近くのオスが巣穴から出て受精させるというもの。







ハンス・フリッケが観察した産卵の図
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このような産卵は信じられなかった。というのは、ハンス・フリッケ著『さんご礁の海から』(思索社)ではシンジュアナゴ属の一種が絡み合って産卵するのを観察した、と記されていたからだ。








チンアナゴ。通常はこの距離。右下は繁殖期
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慶良間や奄美チンアナゴを観察したが、通常は個体同士の巣穴の距離は20cmくらいで、夏になると5cmくらいに縮むことが多い。ピッタリ並んでいることもあった。絡まって産卵するので巣穴の距離が縮むのかと思っていた。









『環礁の王国』と『海底旅行』
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それはともかく、チンアナゴ'59年に動物心理学者アイブル・アイベスフェルトらにより、モルディブで採集された標本を基に新種記載された。学名はXarifania hassiで、種小名は写真家兼海洋学者のハンス・ハスに捧げたもの。属名はハンス・ハスの研究船「クサリファ号」から取った。長期間同乗して調査した思い入れのある船なのだ。
しかし後に属がHeterocongerに変更された。