ガレ場に集まるデバスズメダイ。胸ビレが黒い(慶良間)
珍しいものばかりではなく、普通種をもっと丁寧に観察しなければならないと感じたのだった。というわけで「婚姻色」の最終回は、見直す機会を与えてくれたデバスズメダイにする。
デバスズメダイはサンゴなどの隠れやすいところに生息しているが、繁殖期にはオスがガレ場に縄張りをつくる。
最も多いタイプの婚姻色(慶良間)
デバスズメダイの婚姻色は一定ではなく、いくつかパターンがある。最も多いのは胸ビレが黒くなるタイプ。背ビレと尻ビレが黄色になることもある。
婚姻色は長く続かず、すぐ通常に戻る(慶良間)
次が背ビレが黒で、背ビレ後端と尻ビレが黄色くなるパターン。
デバスズメダイとは思えない配色(慶良間)
体のほとんどが黄色くなり、尾ビレが黒くなることもある。どう見てもデバスズメダイには見えない。
こうした婚姻色は、メスを多く獲得するために進化したのだろうが、見ているとメスが産卵に来ることは意外に少ない。通常の体色のオスのほうが産卵数が多いのは、どうしてなのだろう。
ガレ場で集団産卵するデバスズメダイ(慶良間)
また、時折ガレ場でデバスズメダイの集団産卵が見られることがあるが、そのときはどの個体も通常の体色だ。なぜか婚姻色のものは見当たらない。不思議なことがいっぱいあるから、また海に行きたくなるのだろう。