今日は「母の日」。一般的に「母」のイメージは、授乳をしていたり子供の世話をしている姿だが、魚類では見られない。ほとんどは卵を産みっ放しにするからで、例え卵を世話するタイプでもオスの役目だからだ。
臨月のヒフキアイゴ
そんな魚でも母のイメージにつながるのは、産卵前に腹部が膨らんだメスたち。特にヒフキアイゴはパンパンになる。
卵を守モンガラカワハギ
卵の世話をオスが行うのにはワケがある。繁殖期に何度も産卵を繰り返すうえ、卵がふ化するまで多くは5~6日かかるため、世話をメスが行うと充分にエサが摂れず、卵がつくれなくなるからだ。
卵を守るアカモンガラのメス
ところが、例外はモンガラカワハギ科。魚類行動生態学者の桑村哲生氏の著書『魚の子育てと社会』(海鳴社)によると、モンガラカワハギ科はメスが卵の世話をするという。早朝に産卵して夕方にはふ化する。世話するのは13時間前後なので、ほとんど負担にならないからだという。
ふ化を手助けするトウアカクマノミ
クマノミ類も卵の世話はオスが中心だが、ふ化当日はメスも懸命に行うようになり、直前には胸ビレであおってふ化を促す。旅立つ仔魚を見送る姿はまさしく母の顔…。