大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

「母」にふさわしい魚は…

今日は「母の日」。一般的に「母」のイメージは、授乳をしていたり子供の世話をしている姿だが、魚類では見られない。ほとんどは卵を産みっ放しにするからで、例え卵を世話するタイプでもオスの役目だからだ。


臨月のヒフキアイゴ                                           

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そんな魚でも母のイメージにつながるのは、産卵前に腹部が膨らんだメスたち。特にヒフキアイゴはパンパンになる。











卵を守モンガラカワハギ
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卵の世話をオスが行うのにはワケがある。繁殖期に何度も産卵を繰り返すうえ、卵がふ化するまで多くは56日かかるため、世話をメスが行うと充分にエサが摂れず、卵がつくれなくなるからだ。









卵を守るアカモンガラのメス                                             

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ところが、例外はモンガラカワハギ科。魚類行動生態学者の桑村哲生氏の著書『魚の子育てと社会』(海鳴社)によると、モンガラカワハギ科はメスが卵の世話をするという。早朝に産卵して夕方にはふ化する。世話するのは13時間前後なので、ほとんど負担にならないからだという。







ふ化を手助けするトウアカクマノミ
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クマノミ類も卵の世話はオスが中心だが、ふ化当日はメスも懸命に行うようになり、直前には胸ビレであおってふ化を促す。旅立つ仔魚を見送る姿はまさしく母の顔…。