大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

コブシメの季節(3)

コブシメが産卵するサンゴは数種あり、隙間が複雑な構造をしたサンゴを選ぶ。卵が魚などに狙われないことはもちろん、潮に流されないようにするためだ。


ウスサザナミサンゴに産卵中
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慶良間でコブシメが産卵に選ぶサンゴは、ウスサザナミサンゴとユビエダハマサンゴが最も多い。その他ホソエダアナサンゴモドキやアオサンゴ、ミドリイシの仲間などに産むことも確認されている。
卵は約2ヶ月後にふ化する。







産卵に失敗
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毎年産むサンゴは決まっていて、時期になるとやって来る。NHK「生きもの地球紀行」のロケは、座間味港の近くにあるユビエダハマサンゴの群落で行った。そのときに産卵を撮影していたら、産み付けたはずの卵が腕の先に付いていたのだ。ホンソメワケベラがコブシメをつついたので、ビックリしたようだ。






死サンゴの周りをウロウロする
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ロケから約10年後、産卵しにやって来たコブシメが戸惑いを見せていた。前年産卵していた場所なのだが、サンゴが死滅していたのだ。隙間の構造が変わってしまったため、産んでも無駄だと思ったようで、寂しそうに去って行った。








腕を絡めて交接する
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交接するときはオスが腕を振るようにしながらメスに接近する。受け入れ準備ができたメスは逃げずに腕を伸ばす。互いの腕が触れ合ってから、絡め合って交接する。
時間は1~2分。ただしこれは撮影で接近したため嫌がって離れるからで、本当は5~6分だろう。







横取りに成功したが見つかってしまった
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ハレムを持てない小型のオスは、縞模様を消してメスになりすますことがある。そうすることで容易にハレムのそばに陣取れ、スキをみてメスにアタックできる。こうした行動は「スニーキング」といい、魚ではわりあい多い。