コブシメが産卵するサンゴは数種あり、隙間が複雑な構造をしたサンゴを選ぶ。卵が魚などに狙われないことはもちろん、潮に流されないようにするためだ。
ウスサザナミサンゴに産卵中
慶良間でコブシメが産卵に選ぶサンゴは、ウスサザナミサンゴとユビエダハマサンゴが最も多い。その他ホソエダアナサンゴモドキやアオサンゴ、ミドリイシの仲間などに産むことも確認されている。
卵は約2ヶ月後にふ化する。
産卵に失敗
毎年産むサンゴは決まっていて、時期になるとやって来る。NHK「生きもの地球紀行」のロケは、座間味港の近くにあるユビエダハマサンゴの群落で行った。そのときに産卵を撮影していたら、産み付けたはずの卵が腕の先に付いていたのだ。ホンソメワケベラがコブシメをつついたので、ビックリしたようだ。
死サンゴの周りをウロウロする
ロケから約10年後、産卵しにやって来たコブシメが戸惑いを見せていた。前年産卵していた場所なのだが、サンゴが死滅していたのだ。隙間の構造が変わってしまったため、産んでも無駄だと思ったようで、寂しそうに去って行った。
腕を絡めて交接する
交接するときはオスが腕を振るようにしながらメスに接近する。受け入れ準備ができたメスは逃げずに腕を伸ばす。互いの腕が触れ合ってから、絡め合って交接する。
時間は1~2分。ただしこれは撮影で接近したため嫌がって離れるからで、本当は5~6分だろう。
横取りに成功したが見つかってしまった
ハレムを持てない小型のオスは、縞模様を消してメスになりすますことがある。そうすることで容易にハレムのそばに陣取れ、スキをみてメスにアタックできる。こうした行動は「スニーキング」といい、魚ではわりあい多い。