大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

謎多きアカメハゼ

ハゼ科のアカメハゼは全長約2cm。目が赤いのでこの名が付いているが、実際には虹彩がピンク色。英名でもレッドアイゴビー、パープルドゴビーあるいはホバリングゴビーなどという。


目が特徴のアカメハゼ(奄美

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南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に広く分布している。内湾あるいは内海のサンゴの周辺に群がって生息し、ホバリングしていたり、枝状サンゴの先端に乗っていることが多い。










場所取りの小競り合い(座間味)
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図鑑には、ホバリングしていて驚くとサンゴに乗る、と書かれているが、ちょっとニュアンスが違う。間近で観察を続けたところ、本当に驚いたときはサンゴの間に隠れる。サンゴに乗るのは休憩で、見晴らしのよいところで休むことは安心につながるのだろう。したがって、場所を巡って小競り合いもある。







紅海(左)とモルディブのアカメハゼ
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「南西諸島以南の西部太平洋、インド洋に分布」は確かに広いのだが、実感はそれほどわかない。実際に広いと感じたのは紅海でアカメハゼを見てから。その後もモルディブで見ているし、海外の図艦ではオーストラリア北海岸にも分布しているとか。内湾に暮らすハゼがなぜそんな遠くの海に分布を広げたのだろうか。






産卵中と思われるシーン(奄美
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アカメハゼの繁殖行動は何度か見た。白くなったサンゴに腹部を付け、よく見ると生殖管が伸びていた。しかしすぐに移動したりするので、産卵中なのかはわからない。卵は小さくて透明なので、白いサンゴに産み付けても目立たない。画像を拡大すると、卵は見えた。


 






生殖管を伸ばして…(奄美
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別のときも産卵らしき場面に遭遇した。このときも動きが激しくて、本当に産卵していたかは定かではない。それはさておき、ハゼ類がサンゴに産卵する場合、サンゴは必ず白い。たまたまというのはおかしいので、ハゼ類がサンゴの表面をつついて殺しているのではないだろうか。