大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

学名が変わった魚(1)

魚類学の研究が進むにつれ、より詳しいことがわかってきている。それまで一つの種だったものが二つに分かれたり、誤っていたものが正されたりすることも。


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その結果、学名や和名が変わったり、消滅してしまう種も出てくる。ここ56年の間にもかなり学名が変わった魚がいるが、特にダイバーに身近な魚を取り上げてみよう。









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スズメダイの学名は
Cromis  notata notataで、種小名の二つめは亜種小名といい、亜種が存在するということ。
以前よりスズメダイには地域によって体高の高さが34タイプあることが知られていた。いわゆる地域変異だ。







産卵中のスズメダイ佐渡
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日本海に生息するスズメダイの体高が最も低く、伊豆半島や太平洋沿岸に生息するものの体高はやや高い。だが、計測しなけらばわからないレベルだ。









かつてのミヤケスズメダイ(三宅島)
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伊豆諸島に生息するスズメダイの体高が最も高く、亜種とされて和名をミヤケスズメダイ、学名をC.notata miyakeensisとしていた。しかし精査の結果、'13年に亜種ではなく地域変異ということになり、ミヤケスズメダイは消滅した。
この写真は『日本の海水魚』(山と渓谷社)に使用したものなので、感慨深い。





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したがって、スズメダイの学名もC.notataに変わった。
また、キホシスズメダイC.flavomaculataもなぜか分類的にはスズメダイの亜種(?)だったため、学名が変わった。これについては次に詳しく取り上げたい。