大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

アオウミガメの実状

昔は海の中でウミガメに出会うと、一目散に逃げて行った。おそらく食用のため捕獲されていた歴史があるからだろう。20年くらい前から沖縄では、ウミガメの卵を人工ふ化させて放流するようになった。


アオウミガメ('17年、座間味)
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そのお陰で今では数が増え、出会っても逃げなくなった。アオウミガメの名前の由来は、体内の脂肪が緑(青)だからで、リュウキュウスガモなどの海草を主食にしているからとのこと。









アオウミガメのオス('02年、座間味)

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沖縄や奄美でアオウミガメに出会う機会が増えてはいるものの、ほとんどがメスで、オスが少ないことが気になっていた。アオウミガメのオスは、尾が長い。尾の中に生殖器があるからだ。必ず性別を確認しているわけではないが、尾がわかる写真を見るとメスばかりで、オスは10数年撮っていないことになる。







ナショジオのメルマガより
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そんな折り、先日届いたナショナルジオグラフィックメールマガジンに、「温暖化でアオウミガメがメス化」という記事が載っていた。米・豪の科学者たちがオーストラリアのグレートバリアリーフでアオウミガメの性別を調査し、生物学専門誌に研究結果が発表されたとのこと。それによると、1161の比率でメスが圧倒的に勝っていたらしい。






アオウミガメのメス('08年、奄美
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ウミガメの性は、産卵された砂の中の温度で決まり、高ければメスが多くなる。ただこの研究内容を読むと、ウミガメの性別は見た目で判断するのは難しいので、捕獲してDNAや血液サンプルを採取して調べたとある。もしかしたら若い個体は尾では判断できないのかもしれない。








出会うのはメスばかり('11年、座間味)
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温暖化はさまざまな悪影響をもたらすが、産卵場になる砂浜の環境を守ることも大切だ。木々が伐採されると日陰を減少させ、砂の温度を高めることになる。この研究内容を吟味し、しっかりとした対策をしてもらいたいものだ。