大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

居候(いそうろう)と呼ばれて(3)

ハナハゼの近似種にはヒメユリハゼやイトマンクロユリハゼ、オグロクロユリハゼなど56種いる。しかしこれらは共生ハゼの巣穴ではなく、岩の隙間などに避難するので、居候とは言われない。


スミゾメハナハゼ(崎本部)

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だが、もう1種「居候」の「ハナハゼ」が以前から知られていた。尾ビレの先端は糸状に伸びないので、リュウキュウハナハゼとは明らかに異なる。クロユリハゼ属の1種とされていたが、23年前にスミゾメハナハゼという和名が付けられた。








ヤシャハゼのそばに(奄美
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スミゾメハナハゼは、体の後部から尾ビレにかけて紺色のぼやけた帯があるのが特徴。ヤシャハゼの巣穴の近くにいる場合が多い。











珍しい組み合わせのそばに(崎本部)
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初めてスミゾメハナハゼを見たのは沖縄本島の崎本部で、'93年のこと。ヤシャハゼとヤノダテハゼが住む巣穴のそばにいた。見たこともないハナハゼにちょっと驚いた。それに加え、ヤシャハゼとヤノダテハゼも未記載種だったので、ものすごい組み合わせの場に居合わせて感動していた。







巣穴から出てきた(崎本部)
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興奮状態が伝わったのか、スミゾメハナハゼは巣穴に隠れた。出てくるところも撮りたくてしばらく待った。別カットの写真には写っているのだが、テッポウエビはコトブキテッポウエビだった。でもまだ和名が付いていなくて、英名のランドールピストルシュリンプと呼んでる時代だった。







ヤシャハゼの巣穴から(奄美
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ヤシャハゼを探すときに、スミゾメハナハゼはよき目標になる。浮遊している付近にヤシャハゼがいることが多いからだ。ヤシャハゼもスミゾメハナハゼを見張り役と思っているに違いない。やはりハナハゼ類を居候と呼ぶには抵抗がある。