大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

タテジマヤッコ属に惹かれるワケ(4)

ヒレナガヤッコの分布は少し変わっている。奄美以南~中部太平洋、オーストラリア東部が分布域なのだが、なぜかフィリピンやボルネオ島ニューギニア島インドネシアの島々が抜けている。


ヒレナガヤッコのメス(ニューカレドア)                                                                  

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ヒレナガヤッコは'60年代後半に沖縄で発見され、'70年に日本人学者によって新種記載された。学名(種小名)は日本人名になっている。おそらく採集者ではないだろうか。タヒチにも分布しているようだが、見た覚えがない。その代わりニューカレドニアでは何度か観察している。







ヒレナガヤッコのオス(慶良間)
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オスの体色・斑紋はメスと大きく異なる。日本で初めて見たのは、確か伊江島だった。慶良間でも何度か出会ったものの大抵単独で、生息数は決して多くない。ところが、外海のポイントでいつもとは違ったコースを進んだらハレムがあった。








性転換中と思われる個体
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ニューカレドニアではメスからオスに性転換中と思われる個体に出会った。まだ小型で、このままオスになったら苦労するに違いない。それともオスに変わったら急成長するのだろうか。










若いオス
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慶良間ではオスになったばかりと思われる個体がいた。尾ビレの上下にまだ黒帯が薄く残っていて、体側の縞の数も少ない。











メスにアピールするオス(伊江島
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本種はタテジマヤッコ属の中では最も小さい。そのため生息場所は海底近くで、あまり高い位置で遊泳することはない。ところが伊江島では異なり、ヤイトヤッコやトサヤッコなどと一緒にドロップオフに生息していた。生息環境によって暮らし方も変わるようだ。