大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

タテジマヤッコ属に惹かれるワケ(3)

慶良間諸島ではヤイトヤッコをあまり見た覚えがない。だから奄美大島で出会ったときは少々驚いた。その後伊江島水納島でも撮影できた。


 ヤイトヤッコのオス(水納島)                                                                 
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もともと日本には生息数はそう多くない。それでも伊江島では比較的よく見られる。











トサヤッコ(右)とヤイトヤッコメス
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ヤイトヤッコの北限は奄美諸島付近のようで、生息数は決して多くない。それはそれでさまざまな生態が繰り広げられる。奄美南部では、ヤイトヤッコが見られるポイントは限定され、メスが23尾しかいないときや、オスが12尾出現することもある。しかもどちらの場合のときも、メス1~2尾はトサヤッコと行動を共にしていた。





メスに求愛のポーズ(奄美
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タテジマヤッコ属はオスが浮遊しながら縄張りを巡回し、メスを見つけると接近して逆立ちのような姿勢になる。そして全体のヒレを広げて体を震わせる。このポーズはオスが健在であるということと、求愛の意味がある。








オスの模様に(左)。右は2か月後
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メスの体側に縞が現れ、その後オスのような模様になったことがある。メスの特徴の尾ビレの黒帯も薄く残っていて、オスが接近してくると濃くなるのだ。ところが2か月後、また模様が変わってきた。メスが少ないため、オスになっても子孫を残せる可能性が低いとわかったようだ。メスからオスに変わることは知っていたが、戻るのは知らなかった(特徴的な縞模様の個体だったため、同一個体と識別できた)。




メスに求愛する交雑種(?
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先述のように奄美では生息数が少ないためか、交雑種がたびたび出現する。縞が不規則なこと、縞が腹部まで達しないことなどからトサヤッコとの交雑種と考えられている。12年生息が続く場合もあるが、大抵は数か月で姿を消す。こんなにいろいろな生態が見られるポイントはそう多くない。