キンチャクダイ科タテジマヤッコ属に惹かれている。生態的にわりあいおもしろいからだ。例えばオスとメスで体色・斑紋が異なっていたり、1尾のオスが複数のメスを支配するハレムを形成するため、さまざまな行動が観察できる。
タテジマヤッコ(慶良間)
ハレムをつくる種は性転換する場合が多く、本属も例外ではない。また、プランクトンが主食のために浮遊していることがほとんどで、尾ビレもそれにふさわしい形になっている。タテジマヤッコ属の代表は、いうまでもなくタテジマヤッコ。
タテジマヤッコのメス(奄美)
タテジマヤッコ属の最大の特徴は、メスの尾ビレの両端に黒い帯が入っていることで、オスには入っていない。
タテジマヤッコのメスの体側の黒い縦縞は、一番上が太く、他は細い。
タテジマヤッコのオス(奄美)
オスは額に黄色の斑紋があって、腹ビレが黒い(メスは白)ことが特徴。体側の黒い縦縞は細くて4~5本ある。
幼魚や若魚は、当然メスと同じ体色・斑紋をしている。ただ体側の一番上の太い黒帯は尾ビレの下の黒帯とつながる。
ラジャアンパットのタテジマヤッコ
ずいぶん前、パプアニューギニアのタテジマヤッコは日本のものと若干違うことに気づいた。オスの体側の縦縞の本数が少なくて太いのだ。その後インドネシアのラジャアンパットでも、同じタイプを見た。ニューギニア島周辺に分布するものはそういうタイプのようだが、いったいどういうわけで変異が生じたのだろうか。