大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

水中写真専用フィルム

フィルム整理をしていたら、おもしろいものが出てきた。コダックの「水中専用リバーサルフィルム」で撮った写真だ。このアンダーウォーターフィルム(以下UWフィルム)が登場したのは確か1993年だったと思うが、「世界初」ということで一時話題になった。


UWフィルムでテスト撮影
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メーカーから1本もらったので、伊豆大島でテスト撮影した。これは水深約20mでストロボを使わずに自然光でウミトサカを撮影したもの。原版はもう少し海底の生物の赤が出ている。このフィルムの感度はISO 50なので、フィルム内に「UW 50」と入る。













コダックUWフィルムのパンフレット
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水中では赤色光が吸収されてしまうため、通常のフィルム(デーライトフィルム)は照明なしで撮影した場合、青みがかってしまう。この水中写真専用リバーサルフィルム(UWフィルム)は、暖色系の色に対してより高い感度特性をもつように設計されているため、青みを補正して鮮やかに再現するというもの。






青かぶりになる
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水深5m付近のサンゴに、色鮮やかなイバラカンザシがたくさんいるところがある。デーライトフィルム(富士フィルムのベルビア・RVP)を使って自然光で撮るとこうなる。





 







ストロボをつけたように写る
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同じものをUWフィルムで撮ったのがこれ。自然光でもライトを当てたように写っている。しかし良いことばかりではない。使用する際の制限があるのだ。水深3mより浅いところでの撮影はお勧めできないとのこと。赤っぽくなってしまうからだ。また、ストロボを使用するときは、青いフィルターをストロボの前に付ける必要がある。付けないと赤くなってしまう。しかも被写体までの距離で2種類あるフィルターを使い分けなけらばならない。

 





ベルビア+ストロボ(左)とUWフィルム
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元々の発想は自然光でもストロボを使ったように撮れる、だったはずだが…。ストロボを使うのであれば、通常のフィルムで良いことになる。写真左は通常のフィルムのベルビアでストロボを使って撮った。右はUWフィルムでノーストロボ。この「画期的」ともいえるフィルムはワイド撮影用に生まれたため、その後のマクロブームで使用するダイバーはほとんどいなかった。その結果、わずか12年で消えてしまった。