クマノミ類が住むことができるイソギンチャクは、日本には10数種ある。その中にジュズダマイソギンチャクという種も。触手が数珠に似ているのでこの名が付いた。生息場所のほとんどは砂地で、住んでいるのはクマノミの幼魚が多い。
奄美大島の砂地にもあり、目標物があまりない場所なのでよい目印になっている。そんなわけで、じっくり観察したり撮影したりはほとんどしなかった。一度だけ撮ったのは若魚が住んでいたからで、珍しいと思ったから。
砂地に生息するジュズダマイソギンチャク
ジュズダマイソギンチャクにはなぜ成魚が住まないのだろうか。クマノミ類は岩など硬いものに産卵するので、それがないから成長すると別のイソギンチャクに引っ越しするのだろう。もしかしたら成長できないのかもしれない。
体壁が完全に出ている('12年6月)
NHKのロケでその砂地を何度も潜ったとき、ジュズダマイソギンチャクがおかしなことになっていた。ふだんは砂に埋まっている根っこのような体壁が見えるのだ。通常広がっている触手はすぼんでいて、クマノミはアタフタしている。
夕方には必ずこうなるのだろうか
まるでイソギンチャクが背伸びをしているように思えた。どうしたらこの状況を強調できるかを考えて撮ったのがこれ。クマノミが触手に潜りこんでいる。この行動を観察したのは17時38分で、この写真はその1分後。夕方だからこんなことになるのだろうか。
翌朝には戻っていた('12年6月、9時48分)
翌朝行ってみると、周辺の砂が少し窪んでいるものの、何ごともなかったようにいつもと変わらなかった。
時間帯を変えて観察すると、いつもとは違ったものが見られるようだ。