大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

サンゴの日にちなんで

一昨日は語呂合わせで「サンゴの日」だった。サンゴやサンゴ礁は、ダイビングを始めた当初からの憧れ。いつか南の海で潜りたいと思い続けていた。



ミドリイシの仲間の産卵('94.6
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実現したのが5~6年後で、返還前の石垣島を皮切りに、以降は沖縄本島慶良間諸島などでよく潜った。いつしか魚類の生態とともにサンゴの繁殖にも興味を持つように。
'80年代中ごろにグレートバリアリーフのサンゴの産卵に関する論文が報告された。初夏の満月前後の数日間に100種を超えるイシサンゴ類が同調して産卵するというのだ。





サンゴの産卵に関する論文
イメージ 2 この報告を受けて日本でも観察が行われるようになり、'88年に琉球大学だと思うが、瀬底島で観察したデータが報告された。当時(財)海中公園センターを訪問したときに論文のコピーをいただいた。英文のうえ、サンゴの名前も学名なので訳がわからないまま「6月の満月」をキーワードに座間味島へ向かった。'89年6月のことだった。
産卵が見られるという確証がないので、一緒に潜ってくれる人は少ない。(論文の中のサンゴを最近調べたら、パリカメノコキクメイシだった)。












ムカシサンゴの仲間                                                
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理解してくれたのが「ハートランド」のオープン準備中だった宮村幸文氏と「ダイビングサービス・小野にぃにぃ」の小野篤司氏だった。3名で夜の古座間味をビーチからエントリーした。闇雲に探したが、一向に見つからない。約50分経ったころ、浮遊している卵を発見。ようやくたどり着いたのは、岩に張り付いたようなサンゴだった。夢中で撮影したが、おそらく日本では初めての写真に違いない。




キクメイシの仲間の産卵は一瞬('93.6
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後で調べたらムカシサンゴの仲間。探していたのはミドリイシ系で、形がよくて画になるサンゴばかり見ていたのが失敗だった。このことがきっかけで小野氏は観察を続けていろいろなサンゴの産卵の撮影に成功した。'88年に設立した「阿嘉島臨海研究所」でも観察研究するようになり、サンゴの産卵パターンを解明した。






テーブル状サンゴの産卵は長い('94.6
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小野氏がサンゴの産卵の写真をダイビング雑誌に発表したこともあり、各地で観察されるようになった。
こうしたことにより比較的効率よく見られるようになったが、そのときの気象条件などで必ずしもデータどおりにはいかない場合も多い。特に台風などが発生しているときは予想が難しい。今後は温暖化の影響も考えられるので、ますます難しくなるのではないだろうか。