昨年、外国人観光客は1,100万人を超えた。目的は買い物の他、日本の伝統・文化や日本ならではの風景を見るため、も増えている。
ファンタスティックなウミトサカ類の群落(高知県・柏島)
海の中にも日本ならではの風景はある。それはウミトサカの仲間の群生。もちろんウミトサカの仲間は海外でも見られるが、高さが2m以上もある巨木のようなものは日本だけだ。
ウミトサカ類は刺胞動物。触手が8本なので八放サンゴに分類される。軟らかいのでソフトコーラルともいわれている。研究が遅れているために図鑑も少なく、写真から種を見極めるのは困難。
樹木のような形で、幹の下のほうは枝分かれしないのがエナガトゲトサカらしい。もう1種大きくなるのがホソエダトゲトサカのようだ。
この2種が多く生息するのが房総半島から九州に至る太平洋沿岸で、この景観こそ日本独特といえる。
紅海やインド洋のアンダマン海、フィリピン、インドネシアなどの海にもウミトサカの仲間は群生するが、高さ30cmくらいのものがほとんど。沈船などの人工物にはホソエダトゲトサカが付くこともあるが、エナガトゲトサカは見られない。
しおれている時間帯のウミトサカの仲間(高知県・柏島)
ウミトサカの仲間は潮の関係なのか、しおれたようになっていることもある。ところが、その後ピンとなる。おそらく水を含むと元気になるのだろう。
林立するウミトサカ類の群落は、情緒漂う日本特有の景観だ。外国人ダイバーにぜひ見てもらいたい。