大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

魚群を狩るジンベエザメ

魚類最大のジンベエザメは、プランクトンを食べるイメージが強い。ところが、イワシ類が密集してボール状になったところに突っ込んで狩りをすることがわかった。昨日配信された、ナショナルジオグラフィックメールマガジンに映像が掲載されているのだ。

狩りをするジンベエザメナショジオのメルマガより)

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撮影された海域は、西オーストラリアのニンガルーリーフ。よくジンベエザメが出現するところだ。写真家のトム・キャノン氏が20203月に撮影した。映像を見ると、ミズナギドリやサメ、マグロなどがイワシ類を狙っている。イワシ類は防御のために群れの中へ中へと入るので球形(ここではベイト・ボールと書いてあった)になる。

球形になったイワシ。ミズナギドリも見える(メルマガより)

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そしてジンベエザメが現れ、球形に突っ込む。こうした行動は、おそらくふだんでも行っていると思われるが、映像に撮られたのは初めてらしい。魚類学者も珍しいといっている。

ジンベエザメプランクトン以外にも小魚を食べることは知られていた。しかし、回遊魚のように素早くないうえ、小回りもきかないため、簡単には食べられない。今回のように、他の捕食者がいるお陰でイワシはかたまり、食べやすい状態になった。諸条件が重なって撮影できたといえる。

魚群に突っ込むジンベエザメ(メルマガより)

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どの魚もそうだが、エサは簡単に食べられることにこしたことはない。フィリピンのオスロブはジンベエザメに餌づけしているようで、インドネシアのチェンデラワシは漁船からいらない魚を捨てるので集まってくる。また、場所によってはカツオやサンゴの産卵時期に現れたりする。いずれにしても、生きていくための予知能力が優れているといえるだろう。

漁師が投げる魚を食べるジンベエザメインドネシア・チェンドラワシ)

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