ナショナルジオグラフィックのメールマガジン。今年最初の配信に「マラレラ村、最後の鯨捕りの物語」という記事が載っていた。インドネシア・フローレス島の近くにあるレンバタ島のマラレラ村には、クジラなど海洋生物を竹製の銛で突いて捕る漁法が伝承されている。
全体重をかけて獲物に突き刺す。このときはマンタ(メルマガより)
1500年初頭、祖先は別の島で暮らしていたが、津波で住居が流され、この島にたどり着いた。空いている土地は農耕に適さなかったため、目の前の海にやって来るマッコウクジラ、マンタ、ジンベイザメなど大型の生きものを狩るようになり、生活の糧となっている。余剰分は干して保存食にしたり、他の島の人と物々交換をするという。クジラ乞いという儀式もあるという。祖先の霊に向かって、マッコウクジラを送ってください。1500人の村人に食べさせてください、と願いを捧げる儀式とのこと。
近頃はこのような島にも近代化の波が押し寄せ、このままの暮らしを続けるべきなのか、議論されている。
クジラ乞い(左上)ジンベイザメを仕留める(左下)マッコウクジラの解体(右下、いずれもメルマガより)
実はこの島に行ったことがある。2013年11月にフローレス島からのダイブクルーズの途中に立ち寄ったのだ。ガイドさんから鯨を捕る人たちのことは聞いていたが、上陸したときには漁は休みのようだった。
レンバタ島全景。正面がラマレラ村(13年11月)
現在捕鯨に関しては、国際的なルールがあるが、ここでは古来の方法で年間20頭ほどということで、承認されている。しかし高齢化や現代の誘惑に続けるのは難しいだろう。実際、9年前でも若者たちはスマホをいじっていた。
縞の子供たち
島の前のリーフで潜った。ソフトコーラルは多いものの、ハードコーラルは少ない。また、テングチョウチョウウオやコクテンカタギ、キヘリキンチャクダイなどレアでマニアックな魚は多く見られたが、大きな魚はいなかった。もっと沖合にいるのかもしれない。
ラマレラリーフの海底。下はテングチョウチョウウオとキヘリキンチャクダイ