大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

シマキンチャクフグも喧嘩っぱやい

3年前、「喧嘩っぱやいハナダイ」でハナダイ類の喧嘩を紹介した。ハナダイ類ほどではないが、シマキンチャクフグもよく喧嘩をする。理由のほとんどはメスの奪い合い。シマキンチャクフグのオス・メスは外見ではわかりにくいが、目の後方にある縞模様が目立つのがオスで、特に繁殖期は青くなる。

シマキンチャクフグのオス(座間味)

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本種の喧嘩はこれまで5回くらい観察している。まず出会うと、にらみ合いから始まる。その際、体を平たくして大きく見せる。実力差がある場合はすぐに弱いほうが逃げるので終わるが、力の差がない場合は、にらみ合いながらスキをうかがい、相手の側面から攻めようとする。早めに結着をつけるには、相手に噛みつくのが手っ取り早い。だが口が小さいため、噛める箇所は限られるので、何度もにらみ合いを繰り返す。噛みつくためには、海底に相手を押さえつけるのが最善の策かもしれない。

①典型的なにらみ合い(07.6 ②稀におじぎをする姿勢に(98.11

③スキを見て側面から(99.6 いずれも奄美

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30数年前、座間味で本種の長い喧嘩を観察したことがある。にらみ合ったり、相手の側面に回り込んだりを繰り返す。

にらみ合うなか、機をみて側面に。メスは知らんぷり(87.6 座間味)

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すると突然両者がぶつかった。一瞬だったのでわからなかったが、両者が海底に落ちたのだ。互いの口を噛んでいるようだが…

ぶつかって海底に

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すぐにまた浮いてにらみ合った。片方の顔には砂がついていて、戦いの激しさを物語っている。

浮かんでまたにらみ合う

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その後も攻防が繰り返された。動きが早かったこともあり、どういう経緯で決着がついたかはおぼろげで、気づいたときには片方が相手の尾のあたりを噛んでいた。噛まれたほうは徐々に体を膨らませた。こうして長い争いは終わったのだが、最初に一番激しい争いを見たので、その後の喧嘩はあっさりしてて物足りない。

噛まれて膨らんんだ

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