ミシマオコゼ科は日本に4属8種分布しているが、ダイバーになじみがあるのはミシマオコゼとメガネウオだ。前者は温帯域、後者は温帯およびサンゴ礁域で見られ、どちらも砂地に潜って顔だけ出し、待ち伏せして獲物を捕らえる。
砂に潜って待ち伏せするメガネウオ(座間味)
メガネウオは全長約30cmで、砂に潜っているときは見つけるは難しい。これまで沖縄や海外で5~6回見つけている。といっても大部分はガイドさんに教えてもらったのだが。ストロボ撮影をしつこくすると、危険を感じるのか砂から出て泳ぎ出すこともある。頬のあたりと体側に暗色のぼやけた模様があるのがメガネウオの特徴で、ミシマオコゼには暗色模様はなく、褐色の地に白っぽい虫食い模様が多数入っていて、腹部は白い。
泳ぎ出したメガネウオ(座間味)
メガネウオのもう一つの特徴は、下あごに舌のような皮弁を持っていること。皮弁はオレンジ色で、ゴカイのように見せ獲物を捕らえるといわれているが…。この写真を撮ったときは、砂に潜る際に出したり引っ込めたりを繰り返した。
図鑑や写真集を見ても、皮弁を出しているものは皆無に等しい。獲物を誘うものであれば、もっと写っていてよいはずだが。
潜るときにオレンジ色の皮弁を出し入れするメガネウオ(座間味)
伊豆大島でもメガネウオを撮影したことがある。環境に合わせているようで、沖縄で見たものより茶色っぽい。やはり砂に潜るときに皮弁を出したり引っ込めたりしたが、オレンジではなく白だった。
以前の図鑑では、ミシマオコゼの幼魚は小さな皮弁があるが、成長するとなくなると書かれていた。しかし18年発刊の『日本魚類館』(小学館)では、成魚も白い皮弁があると記されている。
この個体は皮弁の色でメガネウオではなく、ミシマオコゼだと思った…。
白い皮弁を出したり引っ込めたりした(伊豆大島)
ところが、砂から出たところを撮った写真は、虫食い模様ではない。この個体は、不思議なことにメガネウオとミシマオコゼ両方の特徴を持ち合わせているのだ。また、皮弁も獲物を引きつけるというよりも、感情の変化で出す場合が多い。You Tubeで見た動画も、皮弁は捕食した後に出した。一体どういうことなのだろうか。謎だ。
砂から出たらメガネウオの特徴が(伊豆大島)