ベラ科のオニベラは相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。全長約15cmになる。相模湾で見られるのは幼魚で、成魚は高知県以南。オスの体色は緑が基調で、水色の縦スジが4本入り、背ビレが赤い。最大の特徴は泳ぎが素早いこと。おそらくベラ類では一番だろう。行動範囲も広いうえに超高速で移動するので、カメラを向けるだけで大変。
素早く泳ぐオニベラのオス(奄美)
一方メスはやや地味で、茶色地に細かな白い斑点と白帯が入っている。メスを見つけるのは難しく、勢いよく泳ぐオスを見て、近くにメスがいることに気づく、という具合。
オニベラのメス(奄美)
オスが現れるのはメスに求愛するため。したがって、求愛は見られるのだが、とにかく素早いので、きれいに撮れる距離まで近寄るのが至難の業。どうしても青カブリになってしまう。
メスに求愛するオス(奄美)
コモドでもオスが素早く泳ぐ姿が見られたが、やはり近寄るのは困難だった。ましてやメスの姿はどこにも見当たらなかった。
突然現れたオニベラのオス(コモド)
オニベラには頻繁に出会えないので、生息数は多くないのだろう。それに加え素早いので、目に留まる機会も少ないに違いない。そんなオニベラにゲーム感覚で挑んだことがある。画角の狭いレンズでフレームいっぱいに撮ることだ。動きの速い被写体をよく撮っていたためか、2~3カットで満足いく写真を撮ることができた。だからどうしたといわれても困るが、自己満足ということだろうか。
自己満足のオニベラのアップ(奄美)