大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

柏島・初潜りから30年

高知県柏島は、交通の便はよくないにもかかわらず、多くのダイバーが訪れる。黒潮や地形的な関係で、レアな魚類が豊富だからだ。柏島で初めて潜ったのは917月なので、ちょうど30年前。宇和島在住のHさんと知り合ったのがきっかけ。毎週柏島に通っているHさんが、宇和島まで来れば送り迎えするという言葉に乗ったのだ。ということで、その当時の写真で振り返ってみたい。

橋でつながっている柏島。養殖も盛ん

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現在ダイビングサービスは約10軒だが、当時はボート専門のサービスが1軒のみ。Hさんは鹿大水産学部OBなので魚類に詳しく、研究者の知り合いも多い。Hさんらはビーチからなので同行し、地形や魚の生息場所を覚えた。Hさんは勤めがあるので帰宅し、次の休日までぼくは一人で潜った。タンクは島外のサービスが1日おきに交換しにきてくれた。

キンギョハナダイ(ニコノスV 28mmで撮影)

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持参したカメラはニコノスV28mmニコンF4105mmマクロ(ジュノンハウジング)、ニコンF80155mmマクロ(トリエステハウジング)の3台。港のそばの砂浜からエントリーし、岬を回ると共生ハゼが見られる。ネジリンボウやホタテツノハゼ、ヤシャハゼなどだ。これはヒレナガネジリンボウだが、このときはまだ和名がなく、ブラックレイドシュリンプゴビーと英名で呼ばれていた。和名が付いたのは99年。ちなみに砂浜からの出入りは、漁船が多く危険なため、数年後に禁止されたらしい。ロープで仕切れば済む話だが、ボートが主流のサービスが増え始めたからだろう。

ホバリングするネジリンボウ属の一種(ニコンF4 105mmマクロで撮影)

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トラギスが争いをしていた。縄張りかメスを巡っての争いのようで、互いに交差する姿勢で全部のヒレを広げた。側面誇示という行動で、本来なら55mmマクロのほうがよかったが、持っていたのは105mmマクロだった。レアな魚だけではなく、行動も見られるので、同年10月、そして92~94年にも訪れた、

トラギスの争い(ニコンF4 105mmで撮影)

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この当時、合成洗剤を大量に使用することで、川や海の生態系に悪影響を及ぼすという環境問題があった。柏島の防波堤には、「合成洗剤を追放し海をきれいにしよう!」という標語が。島の人たちが何よりも海を大切に思っているのを知り、うれしかった。

防波堤には二つの標語が

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