大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

キツネとタヌキ

ペットや家畜以外で親しまれている動物は、キツネとタヌキではないだろうか。民話にもよく登場するし、麺類の名にも。特にキツネは神の使者とされている。そんなわけで、キツネを冠した和名の魚は結構多く、口が細長い魚に付ける傾向がある。

ベラ科のキツネダイのメス。確かに口が尖っている(伊豆大島

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フエフキダイ科の中でキツネフエフキは最も口が細長い。魚食性で、行動範囲が広い。

キツネフエフキ(ラジャアンパット)

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イトヨリダイ科のキツネウオは、特に口が細長いわけではない。この程度のものはたくさんいるが、なぜかキツネと付いている。どうしてだろう。

口はさほど細長くないキツネウオ(奄美

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ベラ科のキツネベラは、オスとメスでは若干模様が異なる。この写真の個体はメスで、座間味ではなぜかオスの姿は見られない。

このほかにもキツネと付くのはキツネブダイ、キツネアマダイ、キツネカスベなど多数ある。

キツネベラのメス(座間味)

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一方、タヌキと付くのはタヌキベラとタヌキメバル2種。やはり神の使者には勝てない。タヌキベラは伊豆で発見され、1975年に新種記載された。種小名には伊豆の名が付いている。伊豆周辺、紀伊半島高知県、台湾などに分布し、やや深い岩礁域に生息している。

キツネに対抗して付けられた?タヌキベラ(伊豆大島

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