海外でもたくさんのトウアカクマノミに出会った。中には、これがトウアカ?と疑いたくなるものもいて、とにかくバラエティ豊か。英名はサドルバッグアネモネフィッシュで、やはり背中の白い模様が由来。鞍につるす袋という意味のようだ。
今回の撮影ポイントを記した西部太平洋の地図
まずはタイのタオ島。分布域では最も西に位置する。サイリービーチの沖合の水深約9mの砂底には、数えきれないほどのトウアカクマノミが生息していた。ほとんどはイボハタゴイソギンチャクが住みかだった。この写真は別のポイントで出会ったもので、珍しくマバラシライトイソギンチャクにいた。
日本のものとまったく変わらない(タイ・タオ島)
フィリピン・セブ島南端のリロアンにリゾートがある。沖合の水深25mあたりはガレ場になっていて、そこに本種がいた。模様のパターンは日本のものとほぼ同じだった。
ところが、リロアンから隣のネグロス島のポイントに行った際、砂泥底の水深約18mにいたトウアカは、背中の白い模様がちょっとしかなかった。リロアンから10数キロしか離れていないにもかかわらず、どうしてこんなに違うのだろうか。
背中の白い模様が少しのトウアカクマノミ(フィリピン・ネグロス島)
ボルネオ島の北側はマレーシア領で、南側はインドネシア領。北東部の沖合にマブール島があり、目の前のポイントは水深8m前後の砂地。そこに変わったクマノミがいた。鞍模様が腹部にまで達しているうえ、尾ビレの付け根(尾柄・びへい)にも白帯がある。現地のダイバーは「ホワイトチップド・アネモネフィッシュ」といっていた。後にトウアカクマノミのバリエーションということになった。
尾柄部に白い帯があるタイプ(マレーシア・マブール島)
インドネシアのスラウェシ島北東にレンべ島がある。珍しい生物がたくさんいることで、ダイバーに大人気の島だ。ここのトウアカクマノミは、マブールと同じように尾柄部に白帯があった。だが、顔はオレンジでも黄色でもなかった。
尾柄部に白帯があるタイプ(インドネシア・レンべ島)