クマノミの仲間は日本に6種、世界では26種分布している。以前、全部撮影して「クマノミ大百科」を出版したいと思っていた。しかし、20種まで撮影して断念。行くのが困難な辺ぴな海に生息するものが残ったからだ。まだ野望に燃えていた18年前、固有種のスリーバンドアネモネフィッシュを撮るため、マーシャル諸島のマジュロに行った。グアムとハワイの中間辺りの島だ。
イボハタゴイソギンチャクに住むスリーバンドアネモネフィッシュ
名前のとおり体側に3本の白いバンドがあるのが特徴で、数は多かった。その理由として、相性が合うイソギンチャクの種が多いからのようだ。幼魚は普通のクマノミに似ているが、やや大きくなると尾ビレが茶色くなるのが相違点。これらの幼魚はマバラシライトイソギンチャクに住んでいた。
幼魚はクマノミそっくり。白枠内が一回り大きな幼魚
イボハタゴイソギンチャクなど触手が短いイソギンチャクに住むと、体色が黒くなる傾向がクマノミにはあるが、本種はそうなるものとならない場合があった。
黒くなった個体
また、中にはバンドが1本足りない個体もいた。一つのイソギンチャクにたくさん住み着いている場合にそのような個体もいたことから、遺伝的なものなのかもしれない。
バンドが2本しかない個体
マジュロのいたるところでこのクマノミは見られ、住んでいるイソギンチャクも4種だった。この写真の個体はサンゴイソギンチャクに住んでいた。他にもジュズダマイソギンチャクに住むものもいた。これほど生命力が強いにもかかわらず、なぜ分布を広げられなかったのだろうか。どうしてマーシャル諸島固有種になったのか、不思議でしかたがない。
サンゴイソギンチャクに住む黒味が少ない個体