大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

写真集制作で不思議な巡り合わせ

(株)岩崎書店から出版予定の写真集『サンゴ礁の海 生きるための知恵くらべ』。新型コロナによる影響などで出版が遅れているが、予期せぬ出来事も重なって印刷会社を替えることになり、さらに遅れることに。

写真集『サンゴ礁の海 生きるための知恵くらべ』表紙

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今度の印刷会社は、昔『アニマ』を印刷していた「東京印書館」。『アニマ』とは1973年創刊された野生動物を扱った月刊誌で、学術的にも定評があったものの、93年に休刊となった。この雑誌には愛読者動物写真コンテストがあり、ぼくも応募して最優秀賞を受賞した。

『アニマ』8011月号と受賞作のページ

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応募した作品は「海水魚の生態・共生」で、70年代後半、まだサラリーマンをしている時代に愛用のローライマリンで接写した6枚の組写真。これまではダイビング雑誌での受賞がほとんど。一般誌では初めてなので自信につながり、プロへの足掛かりとなった。このコンテストは後に「アニマ賞」になり、動物写真家の登竜門といわれるようになった。

昔の写真も今と作風は変わらない。一貫してと捉えてよいのか、それとも成長してないと捉えるべきか。

受賞作のページ

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この『アニマ』を東京印書館のプリンティングディレクターにお見せしたら、80年は入社3年目だったと笑われていた。前の印刷会社で刷った色校を基に、編集者、デザイナー、そしてぼくが希望の色合いを説明し、データを映し出したモニターで見ながらオペレーターが少しずつ調整する。こうして方向性を確認していく。

東京印書館での打ち合わせ

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実際にモニターで画像を見ながらオペレーターが調整する様子を観察したが、色の調整はもとより、部分的にも全体的にもかなり大幅に変えることができることを知った。

このような事情で発刊は10月下旬になる予定だが、40年前の『アニマ』受賞作品と同じ印刷会社になろうとは、思いもしなかった。不思議な巡り合わせだ。

画像を拡大して色を調整するオペレーター  

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