大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

リボンゴビーについて

28年前、海外の図鑑で「リボンゴビー」という不思議な魚を知った。1992年発刊された図鑑で、著者はオーストラリアの水中写真家兼研究者のルディー・クーター氏。インドネシアとその周辺の海水魚を余すところなく収録している。それにはブルーバード・リボンゴビー、セイルフィン・リボンゴビー、ロブスト・リボンゴビーの3種が掲載されていた。

図鑑とリボンゴビーのページ

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マニアックなダイバーによって、日本にもリボンゴビーがいるといううわさが広がった。生息場所は湾内の泥地なので、一般ダイバーは潜らない。しかし沖縄本島などでロブスト・リボンゴビーが次々見つかり、2000年に日本初記録種として、タンザクハゼという和名が付けられた。その後奄美にも生息が確認されている。当初はオオメワラスボ科だったが、現在はクロユリハゼ科。

分布的には北限のタンザクハゼ(奄美07年)

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実は、このタンザクハゼを撮影したとき、図鑑の著者のルディー・クーター氏と一緒だったのだ。当時氏はウミウシの図鑑を制作中で、その取材を兼ねて鹿児島県の各地を潜り、奄美に寄ったとのこと。奄美でリボンゴビーを撮影する姿を見たかったのだが、泥が舞い上がるので距離をとろうと決めて入った。なので、泥煙しか見ていない。

ルディー・クーター氏と(07年、奄美

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タンザクハゼを観察していると、泥の底にある巣穴から姿を出してホバリングするのだが、すでにそのときに少しだけ泥の煙が上がる。驚いて巣穴に入ると最悪で、濁ってしまってもう撮影できなくなる。自分も動くと濁るので、場所を替えるしかない。

グループでいる場合もある(07年、奄美

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タンザクハゼの分布はインドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、香港、タイ、沖縄本島西表島奄美大島など。以前、フィリピンのセブ島でリボンゴビーを撮影した。タンザクハゼとはちょっと違うので調べたら、ブルーバード・リボンゴビーであることがわかった。

生態や習性はタンザクハゼと同じだが、警戒心がやや少なくて寄りやすかった覚えがある。

ブルバード・リボンゴビー(06年、セブ島

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