大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

オシャレハナダイについて

昔、クダゴンベの写真を「おしゃれな魚」というタイトルで水中写真コンテストに応募したことがある。格子模様が斬新だったからだ。それから17年後、「オシャレハナダイ」が出現した。インド洋のモーリシャス島から得られた標本を基に1994年新種記載されたのだ。日本初記録に関しては『伊豆海洋公園通信』(1995年9月号)によると、1994年12月に伊江島近海で湯野川恭氏が採集したとある。
稀種のオシャレハナダイ(柏島、2009年8月)

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その後、伊豆大島八丈島でも生息が確認され、日本初記録として『伊豆海洋公園通信』に瀬能宏、湯野川恭両氏連名で記載し、和名オシャレハナダイを提唱したという次第。インド洋のモーリシャス島以来の、しかも遠く離れた西部太平洋での発見が2例目になる。
やや深いところを好むオシャレハナダイ(柏島、2009年5月)

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本種の生息場所は岩や石、死サンゴなどが堆積しているガレ場で、柏島では水深40m前後になる。これまで柏島でしか出会えていないが、3回撮影している。大きさは約7cmで、ほとんど泳がずに海底にじっとしている。行動的にはゴンべ類に近い。
ガレ場に生息するオシャレハナダイ(柏島、2015年4月)

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現在の分布はモーリシャス伊江島伊豆大島八丈島柏島久米島。生息が確認されている水深は35mから55mまで。分布が拡大しないのは個体数が多くないこと、生息水深が深いなどの理由がある。これからは個体数も増えると思うし、いろいろな海域で発見されることだろう。
腹部がやや大きい(柏島、2009年5月)

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