大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ホワイトボンネットの真実

クマノミの仲間にホワイトボンネットアネモネフィッシュがいる。分布はパプアニューギニアソロモン諸島の周辺で、1973年にオーストラリアのジェラルド・アレン博士によって新種記載された。
ホワイトボンネットアネモネフィッシュ(パプアニューギニア

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このクマノミ見たさにパプアニューギニアへ何度か行ったことがあるが、ホワイトボンネットは数個体見られたものの、白の斑紋が個体によって違い、同じ斑紋のものはいなかった。
白い斑紋が異なる個体(パプアニューギニア

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別のイソギンチャクにはホワイトボンネットが2個体いたが、白の斑紋がぜんぜん違う。もしかしたら交雑種ではないかと思ったのだった。
白の斑紋が異なる2個体(パプアニューギニア

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案の定、交雑種という推測は当たっていた。1997年発行されたアレン博士の著書(改訂版)にそのことが書かれていたのだ。アレン博士はパプアニューギニアでオレンジフィンアネモネフィッシュとセジロクマノミが同じイソギンチャクで卵を世話しているところを目撃。それが確証につながったらしい。この両種の組み合わせはぼくも見ている。
オレンジフィンアネモネフィッシュとセジロクマノミパプアニューギニア

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交雑種にしては個体数が多いのはいったいどうしてだろうか。分布も広がっているようで、ニューギニア島の西側に位置するラジャアンパット(インドネシア)でも見たことがある。
ホワイトボンネットアネモネフィッシュ(ラジャアンパット)

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日本では、クマノミとセジロクマノミが同じイソギンチャクに住んでいたことがあった。このときの両種の関係は、セジロクマノミが強くてクマノミを追い出そうとしていた。これでは産卵どころではないだろう。万一産卵したとしても、障壁があってそう簡単には受精しない仕組みになっている。そう考えると、ホウィトボンネットはとても不思議だ。
クマノミとセジロクマノミ奄美

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