大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

海洋プラスティックを特集した雑誌

プラスティックごみが大問題になっている。廃棄されたプラスティック製品の一部は、海岸や海に流れている。プラスティックは自然に返ることはなく、経過とともに微細なマイクロプラスティックに変化。それが魚介類の体内に蓄積し、結果として人間の口に入る。そんなことがすでに起こっている。そこで、シンガポールのダイビング雑誌『Asian Diver』が警鐘を鳴らした。海洋プラスティックの特集を組んだのだ。

表紙のデザインは、アホウドリのヒナの消化管から発見された500個を超えるプラスティックごみを、地球の形に並べたもの。
昨年発行された『Asian Diver』の表紙

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特集記事は半端ではなく、約7割を海洋プラスティックごみに費やしている。海岸に流れ着いた大量のプラスティックごみの写真を見ると、川や海をごみ箱と思っている人がほとんどではないかと考えてしまう。
特集で掲載された記事・写真

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海の生き物にビニールや網が絡んでいる写真も掲載されている。
タツノオトシゴやウミガメも被害に

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また、食物連鎖でやがて人の口に入るイラストなども載っている。
わかりやすい食物連鎖のイラスト

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最後のページは、プラスティックの代替品の勧めやリサイクルなどで海洋汚染を減らそうと締めくくっている。ダイビング雑誌がここまでやるのは異例中の異例だ。アジアの海は深刻な状況と捉えているからだろう。
代替品や今後の取り組みについて

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今回の特集についての写真は、前もって写真家に撮影を依頼していたはず。社会派写真家ばかりではないからだ。そんなこともあって気になるものも。モデルが泳いでいる写真で、周りのフォークやスプーン、ボトルなどは新しい。表現するために持ち込んだのだろう。コメントには、2019年には誰もがプラスティックを使わなくなり始めることを望みます。それがストローや袋、カップと小さいものであっても、個々が使うのをやめれば莫大なムーブメントになる、と記されている。
撮影のために持ち込んだプラスティック製品を、残らず回収したと信じたい。

新品のプラスティック製品を持ち込んだと思われる写真

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