大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

フタイロハナゴイについて

1982年ごろ、座間味で見たことがないハナダイを撮影した。当時『日本産魚類大図鑑』を制作中だった益田一氏にお会いする機会があったので写真を見ていただくと、79年に新種記載されたハナゴイで、学名の種小名は「bicolor」だと教えてくれた。
フタイロハナゴイ(09年、奄美

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体色が二分されているように見えることで「bicolor」の種小名になったわけだが、その後日本でも生息が確認され、84年発行の前出の図鑑にフタイロハナゴイとして初めて掲載された。体側の中央付近で色分けされているが、体色を変化させることができるのか、色分けがはっきりしないこともある。
色分けがはっきりしないタイプ(08年、座間味)

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現在の分布は伊豆半島以南だが、本州で見られるのは幼魚だろう。成魚が普通に見られるのは奄美群島以南に違いない。幼魚には以前、柏島で出会ったことがある。
全長約4cmの幼魚(93年、柏島

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オスとメスの外見的な差はあまりないが、オスがやや大きいことと、背ビレ第2・3棘が糸状に伸びることが特徴。
背ビレの一部が糸状に伸びるオス(97年、奄美

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本種の生息場所は平坦なガレ場あるいは砂地にある根なので、クリーナーシュリンプのアカシマシラヒゲエビと出会う機会が多く、クリーニングされることもたくさんある。。このときは2匹にクリーニングされていた。

クリーニングされているフタイロハナゴイ(86年、座間味)

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