大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ハナキンチャクフグについて

フグ科のハナキンチャクフグは、近縁のシマキンチャクフグと混同されていた経緯がある。そのため図鑑によって分布がまちまち。「小笠原諸島琉球列島以南の熱帯域に分布」と書かれてもいるが、実際は相模湾以南。大瀬崎で越冬も確認され、シマキンチャクフグより低温に強いようだ。
ハナキンチャクフグ(奄美

f:id:youjiuo:20200108143022j:plain

 

全長約14cmになるとされているが、10cmくらいが多い。鞍状の黒い斑紋が腹部まで達しないこと、オレンジ色の斑点があること、尾ビレが黄色くないなどがシマキンチャクフグとの相違点。雑食性で、海藻、カイメン、貝類、カニ類、クモヒトデ類などを食べる。
ホンソメワケベラにクリーニングを受ける(柏島

f:id:youjiuo:20200108143047j:plain

 

幼魚はオレンジ色の斑点が大きく、とても可愛いらしい。岩の隙間などにいることが多い。
約4cmの幼魚(柏島

f:id:youjiuo:20200108143101j:plain

 

あまり動き回らないのだが、イソギンチャクのそばに来たことがあった。しばらく観察していたら、イソギンチャクに住むカクレエビが乗ってクリーニングを始めた。
クリーニングされる若魚(奄美

f:id:youjiuo:20200108143114j:plain

 

2017年発刊『日本産フグ類図鑑』(松浦啓一著・東海大学出版部)によると、これまで用いられていた学名C .coronata はハワイ固有種とのことで、C.axiologus に変更されている。1931年に記載されている既存種だ。ハワイの魚類図鑑を見てみると、確かに似ているが目の周囲の模様がない。だが、C.axiologus はどの図鑑にも載っていない。やはり分類は難しい。
ハワイ固有種のC .coronata 『HAWAIIS FISHES 』より

f:id:youjiuo:20200108143128j:plain