ベラ科のイラは温帯域に生息し、約45cmに達する。警戒心が少なく、かなり接近してくるのでとても撮りやすい。特に高知県の柏島周辺では生息数も多いので、1回潜っただけでかなり写真を撮ってしまうハメになる。
ウミトサカのそばに来るイラ(高知県大月・一切)
イラはわりあい大きくて近寄れるので、ワイドレンズで狙うことが多い。マクロレンズではこんなアップが撮れる。
口を開けたイラ(高知県・柏島)
頑丈そうな歯でおわかりかと思うが、好むエサはウニ類や貝類、甲殻類などの底生動物。ダイバーに近寄ってくるのは、フィンで蹴ったときに現れるからのようだ。自分で岩をどかしてエサを探すこともある。
岩をどかしてエサを探す(高知県大月・一切)
いつもせわしなくエサを探しているイラだが、あるとき海底でじっとしていたことがあった。近寄るとホンソメワケベラにクリーニングされていた。
わりと珍しいイラがクリーニングされる姿(高知県・柏島)
イラのオスとメスは外見的な大きな違いはない。オスはやや大きく、老成すると額が突出し、額から口に向かってほぼ垂直になる。オスは数尾のメスを支配するハレムを持つが、行動範囲が広いために把握するのは難しい。また、オスはメスより警戒心が強い。
メス(右)を追いかけるオス(高知県大月・一切)
ダイビングで見られるイラの大部分は成魚で、30~40cmのもの。しかし幼魚はまったく異なる体色・斑紋をしている。やや深い海底の岩陰にいることが多いので見つけにくい。このときは鮮やかなヤギのそばにいた。
約3cmのイラの幼魚(大瀬崎)