大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

#写真

徳島の海とテンジクザメ

9/17のNHK「さわやか自然百景」は徳島・宍喰の海だった。黒潮の分流の影響でイシサンゴ類も多く、特にシコロサンゴがよく見られる。当然、熱帯系の魚類も多い。 9月17日の「さわやか自然百景」のタイトル また、この海には特徴的なことが知られている。ある…

超珍しいウミタナゴの生態

ウミタナゴ科のウミタナゴは全長約23cm(30cmの記録あり)になり、北海道中部以南九州、朝鮮半島南部、中国沿岸に分布している。藻場や岩礁域、砂地などに単独から数10尾の群れで行動している。以前から体色が若干異なるタイプが存在することが知られていた…

ルリスズメダイの地域変異

スズメダイ科のルリスズメダイは全長約7cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋に分布している。主な生息場所はサンゴ礁の浅瀬で、九州以北で見られるものは幼魚と思われる。オスは全体が青で、目のところに黒いスジが入っている。ソラスズメダイと混同されるこ…

クロハコフグの生態(その2)

クロハコフグの繁殖期は5月中旬~7月。繁殖期以外は行動自体活発ではないため、ほとんどわかっていない。繁殖期になるとオスはサンゴ礁と砂地の境界付近を縄張りにし、16時過ぎから中層に浮かんでパトロールする。同種のオスの侵入を防ぐためと、縄張り内の…

クロハコフグの生態(その1)

ハコフグ科のクロハコフグは全長約16cmになり、伊豆半島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。主な生息域はサンゴ礁で、九州以北で見られるのは幼魚と思われる。体色はオスとメスで異なり、メスは黒褐色の地に白点が全体にある。とても警戒心が強く、…

関東大震災 100年

きょうで関東大震災発生からちょうど100年。節目の年とあって、各テレビ局では関連番組を放送している。また、当時の少ないデータを最新技術でわかりやすく視覚化する研究も行われている。津波がその1例で、相模湾で発生した津波をシュミレーションした映像…

マンタの食事法

かつて「マンタ」はオニイトマキエイのことだったが、2008年2種に分類され、新たなほうはナンヨウマンタになった。オニイトマキエイは外洋性、ナンヨウマンタは沿岸性とのことで、ダイバーがよく出会うのはナンヨウマンタということになる。2種に分かれたと…

光芒を求めて

背景に光芒(こうぼう)が写っている水中写真が大好きだ。光芒とは、光のすじのこと。地上では、日が傾いたころに雲のすき間から日が射すときに光芒が見えることがあるが、写真に撮るのは難しい。その点、水中では比較的簡単。とはいえ、ただ単にカメラを太…

オトメベラの生態

ベラ科のオトメベラは全長約18cmになり、千葉県以南の太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁が主な生息場所だが、黒潮の影響が強い温帯域では成魚も多く見られる。幼魚は茶色で、背ビレと尾柄部に黒の斑点がある。 オトメベラの成魚と白枠内は約3cmの幼…

ピースボート40周年記念イベント

NGOピースボートが発足して40年になる。その記念イベントが18日(金)東京国際クルーズターミナルに停泊中のパシフィック・ワールド号内で開催された。 パシフィック・ワールド号(ピースボートHPより) プログラムは船内ツアー、40周年トークイベント、レセ…

ソラスズメダイの生態

スズメダイ科のソラスズメダイは全長約8cmになり、茨城県以南の太平洋、東部インド洋に分布している。サンゴ礁域が本来の生息場所だが、分布を北に広げ、今や温帯域でも普通に見られる。体はきれいな青で尾ビレが黄色、そして尻ビレも淡い黄色だが、地域また…

体色多様なサラサハゼ

ハゼ科のサラサハゼは全長約10cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域のガレ場に大抵ペアで生息し、岩などの下に巣穴をもっている。海底から数cm浮かんでゆっくり移動し、たまに海底の砂を口に含む。有機物や小動物を捕ら…

魚の寝姿いろいろ

昼間活動する魚のほとんどは、夜になると眠りにつく。その寝姿を見ると、種によって特徴があることがわかる。ブダイ類はサンゴや岩陰で眠るが、多くはエラから透明の粘液を出して「寝袋」をつくり、その中で眠る。「寝袋」は主に寄生虫よけと考えられている…

今森光彦写真展

六本木ミッドタウンにある、富士フイルムフォトサロン東京に於いて「今森光彦の地球昆虫紀行」が開催されている。この写真展は、『ファーブル昆虫記』のファーブル生誕200年記念として企画された。 今森光彦の地球昆虫紀行の案内状 今森氏とは、世代が近いこ…

クラゲに注意! 

きのうは「土用丑の日」だった。夏の土用はウナギと結びついてよく知られているが、各季節もあるらしい。また、「土用波」という言葉があるが、熱帯海域で発生した台風によるうねりが伝わって、海岸に打ち寄せる大波のこと。昔の人は、土用波と一緒にクラゲ…

囚人魚 !?

フィリピン、インドネシア、マレーシアなど熱帯海域で潜ると、ゴンズイのような小魚に出会うことがある。最初に出会ったのは27年前のインドネシア・メナド。群れてはいるものの、ゴンズイほど密集していない。海外の図鑑で調べたら、コンビクトブレニーとわ…

「潜れ!さかなクン」を見て

海の日(7月17日)の夜、NHKで「潜れ!さかなクン 沖縄やんばる特集」が放送された。その中で、日本で見られるクマノミ類6種の紹介もあった。 「潜れ!さかなクン」のタイトル クマノミ類は恩納村で撮影されたようで、卵を世話するトウアカクマノミも出てき…

海の日にちなんで

今日は「海の日」。東京の最高気温は37℃の予想で、連日猛暑が続いている。そこで、これまでたくさんダイビングした5か所の海から涼し気な写真を選んでお届けしよう。まずは第一位の沖縄から。 ハナタカサゴの群れ(座間味) 第二位は奄美大島。奄美の魚類相…

「旅サラダ」でコモド

テレビの画面に行ったところが映ると、なぜかハイテンションになる。今日の「旅サラダ」の海外は、インドネシアのコモド諸島だった。ダイビングで何度も訪れているので、とても懐かしかった。ちなみにコモド諸島のダイブクルーズは6日間の日程。08年から通い…

遭遇率低いモンガラ

モンガラカワハギ科は日本に22種分布している。その中で、なかなか出会えないものもいる。生息数が少ないことも要因だが、生息場所にも関連している。外洋に面したわりあい深い場所に住む種は、当然ながらそう簡単には出会えない。このスジナメモンガラは、…

トラフザメの保護活動

『ナショナルジオグラフィック』7月号の特集記事に「サメを再び海へ」がある。国際的な保護団体がインドネシアのラジャアンパットでサメの調査を行ったところ、特にトラフザメが絶滅の危機に瀕していることが判明。漁業の対象になっているかららしい。そこで…

ヒトヅラハリセンボンの背中

ハリセンボン科のヒトヅラハリセンボンは、全長約50cmになる。和歌山県以南の西部太平洋、インド洋に分布し、主にサンゴ礁域に生息している。薄茶色の体に褐色の斑紋が目の下や背中などにあるが、それらは白く縁取られているのが特徴。 ヒトヅラハリセンボン…

ホシススキベラの生態

ベラ科ススキベラ属のホシススキベラは、全長約16cmになり、和歌山県以南の中・西部太平洋、インド洋に分布している。生息数はさほど多くないうえ、成魚は比較的地味なので人気はあまりない。しかし幼魚のある時期はとてもきれいになり、観賞魚として珍重さ…

館山でエンジョイ(その2)

25日(日)は、サメが集まる海として一躍有名になった伊戸(いと)へ向かった。伊戸ダイビングサービス「BOMMIE」は日曜お客が多いため、山ちゃんがガイドを頼まれたという。この日は70名くらい来ていて、30名乗りのボートが何往復もする。多くのダイバーが1…

3年ぶりの奄美(最終回)

今回は5日間で15本潜り、うち14本がミステリーサークルの観察・撮影だった。1本は、他のお客がいたこともあり、嘉鉄のメインのポイントに潜ったが、環境がずいぶん変わっていた。大きな根にいたカクレクマノミがいなくなっていたのだ。以前は2組いたが、1組…

3年ぶりの奄美(4)

ダイビング最終日、産卵を期待して7時に潜る。サークルへ向かう間、ドキドキだった。果たして…。 筋は消えており、フグが卵の世話をする動作をしていた。ひと安心だ。過去に筋が消えていないことが何度かあったからだ。消えていないと、産卵は翌日に持ち越さ…

3年ぶりの奄美(3)

アマミホシゾラフグは、大潮にサークルをつくり始めて小潮で完成。翌日産卵して次の大潮でふ化。というのが基本的なサイクル。当然ずれることも多い。特に台風が接近した場合は大幅に狂う。今回は潮に合わせて1週間の日程を組んだ。ダイビング初日、23mの海…

3年ぶりの奄美(2)

今回利用したダイビングサービスには、海外のテレビ局、水族館や博物館などから、ミステリーサークルの取材や調査の予約が入っている(ナショナルジオグラフィックの取材は数日前に終わった)。そのため、ダイビングポイントから離れた砂地を調査し、複数の…

3年ぶりの奄美(1)

久しぶりに奄美へ行った。2020年の「ワイルドライフ」のロケ以来なので、3年ぶりだ。台風3号が数日前にフィリピン付近で発生し、どうなるのかとても心配だった。いずれにしても梅雨なので、快晴は期待できない。奄美到着日(6/8)は天気予報でも大雨だった…

ネンブツダイ 分布の不思議

テンジクダイ科のネンブツダイは全長約10cmになり、千葉県以南~九州、台湾、朝鮮半島南部、中国南シナ海沿岸に分布している。分布に関しては図鑑によりまちまちなので、後述する。体色は半透明の肌色で、黄色やピンクがうっすら入ってきれい。また、顔に2本…