大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

完成!奄美の水中写真集

奄美の水中写真集が完成した。講談社さんよりこのお話をいただいたのは昨年6月。当初はミステリーサークルとアマミホシゾラフグをメインにということだったが、他にも奄美には魅力的な海中世界があるので、23年間撮りだめたストックから厳選して担当者にお見…

水中写真展巡り

新宿で水中写真展が二つ開催されている。一つは、若手水中写真家・戸村裕行氏の「OCEAN PLANET~いのち煌めく海の中の時間~」で、オリンパスギャラリー東京で6月29日まで。 若手水中写真家の戸村裕行君 戸村君とは一緒に潜ったことはないが、インドネシアの…

クマノミ類の黒化現象(3)

オーストラリアのグレートバリアリーフ(GBR)からニューカレドニアにかけて分布するのが、バリアリーフアネモネフィッシュ。共生するイソギンチャクは約5種類とされる。 バリアリーフアネモネフィッシュ(GBR) これはタマイタダキイソギンチャクかサンゴイ…

クマノミ類の黒化現象(2)

海外に生息するクマノミ類も調べてみたが、触手の短いイソギンチャクに住むと黒くなる場合と変化がない場合とがあった。すなわちクマノミの種類によって違うようだ。 ハタゴイソギンチャクとイースタン(PNG) イースタンクラウンアネモネフィッシュはカクレ…

クマノミ類の黒化現象(1)

クマノミ類と共生相手のイソギンチャク類とは、それぞれ相性のようなものがある。日本に限っていえば、カクレクマノミはセンジュイソギンチャクとハタゴイソギンチャクにしか住めない。セジロクマノミが住めるのはアラビアハタゴイソギンチャクのみ。 シライ…

48年前のスクラップブック

古いスクラップブックが出てきた。ダイビングに関する新聞の切り抜きで、'68年から約8年間のものが貼ってあった。当時ダイビングの情報はとても少なかったので、片っ端から集めていた。'68年に返還された小笠原の海中の取材記事が多い。 海中クリスマスパー…

オオフエヤッコダイのナゾ

先日、ハウジングメーカー社長のKさんと柏島に向かう車中で、オオフエヤッコダイの話になった。行って来たばかりの西表島で見たという。フエヤッコダイとの違いをガイドに教えてもらい、妙に感激していた。 オオフエヤッコダイ(モルディブ) テンジクダイ科…

青筋と金剛

柏島のお魚セミナーで、鹿児島大学大学院生の吉田朋弘氏はテンジクダイ科魚類について講演した。その中で特に興味深かったのがアオスジテンジクダイの近似種。以前からフィッシュウォッチャーの間では、尾柄部の黒帯がアオスジテンジクダイと異なるので、別…

柏花鯛

先日柏島で開催されたウミノフォトフェスのお魚セミナーで、高知大学の遠藤広光氏は柏島にまつわる魚類について講演した。トサヤッコやスジハナダイ、カシワハナダイ、イトヒキハナダイなど柏島やその周辺で発見されて新種記載や日本初記録になった魚たちだ…

柏花鯛

先日柏島で開催されたウミノフォトフェスのお魚セミナーで、高知大学の遠藤広光氏は柏島にまつわる魚類について講演した。トサヤッコやスジハナダイ、カシワハナダイ、イトヒキハナダイなど柏島やその周辺で発見されて新種記載や日本初記録になった魚たちだ…

ウミノフォトフェスin柏島

柏島から帰って来た。梅雨の真っ只中、土曜日は奇跡的に晴れて絶好のイベント日和となった。ウミノフォトフェスは今回初参加なのでどんなものかわからなかったが…。 柏島全景(13日撮影) イベントは土・日の2日間のように書かれているが、実質的には土曜日…

分布にまつわる話(テングダイ編)

テングダイといえば、伊豆諸島や小笠原固有の魚という感じに思える。沖縄では見られないし、'84年発刊「日本産魚類大図鑑」(東海大学出版会)にある分布は南日本沿岸、小笠原諸島になっている。 テングダイ(伊豆大島) しかし『日本の海水魚』(山と渓谷社…

分布にまつわる話(ハナヒゲウツボ編)

ハナヒゲウツボの分布は、奄美大島以南、西部太平洋。昔も今もほぼ同じ。初めて見たのは慶良間諸島の座間味島で、'70年代終りごろ。その後何度も撮影し、'80年代終りごろに触れる個体が現れた。 触れるハナヒゲウツボ('88年、座間味) 現地ガイドが餌づけし…

分布にまつわる話(コクテンカタギ編)

コクテンカタギの分布は『日本産魚類大図鑑』('84年、東海大学出版会)では、相模湾以南の西部太平洋。'97年発刊の『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、中部日本以南、台湾、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア南部の西部太平洋になった。 コクテン…

分布にまつわる話(ツキチョウ編)

ツキチョウチョウウオを初めて見たのは柏島で、'92年のとき。警戒心が強く、近寄るのが大変だった。『日本の海水魚』(山と渓谷社)には伊豆、高知県、台湾、フィリピン、タイに分布とある。 ツキチョウチョウウオ('92年、柏島) また、海外の図鑑に載って…

分布にまつわる話(ケラマハナダイ編)

ケラマハナダイは'70年代後半に慶良間諸島の座間味島で発見され、'83年に新種記載された。'84年発刊の『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)には、沖縄座間味島、西表島に分布、と記されている。 まだ和名がなかったころ('80年、座間味島) しかし数年後…

分布にまつわる話(テングチョウ編)

テングチョウチョウウオを初めて見たのは柏島。'91年7月のこと。幼魚、そして成魚のペアがいた。ペアでもこのチョウチョウウオは少し離れて行動するので、2尾を画面に入れるのは難しい。同じ年の12月に大瀬崎でも若魚に出会った。 何とかペアが撮れた('92年…

分布にまつわる話(クロリボンスズメダイ編)

クロリボンスズメダイの分布は『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、宮古島以南、インド・西太平洋域となっている。 奄美のクロリボンスズメダイ('04年) 奄美大島と加計呂麻島の間の「大島海峡」は入り江が多く、ダイビングポイントにもなっている。12年前…