大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

陸上写真のススメ(1)

その昔、水中写真のセミナーを頻繁に行っていた。その都度受講者に聞いたのは、陸上写真を撮っているかどうかということ。ほとんどの人が撮っていなかった。水中写真をいきなり始めるのは、フィルム時代では珍しくなかった。 夕暮れの四ツ木橋。河川敷は被写…

マイ潜水グラフィティ

先日出版記念会でいただいた単行本『ニッポン潜水グラフィティ』(須賀次郎著、成山堂書店発行)を読んでいる。『月刊ダイバー』連載のものと同じはずなのに違ったおもしろさがあり、つい引き込まれてしまう。 須賀次郎著の『ニッポン潜水グラフィティ』 知…

変身!? 驚きの婚姻色 (3)

婚姻色には苦い思い出がある。'86年に座間味島でスノーケリング中、見知らぬ魚を発見。新種かと思ったほどだが、しばらくするとデバスズメダイになった! それまで魚類の生態をつぶさに観察してきたつもりだったが、極めて普通種の婚姻色は見落としていたの…

変身!? 驚きの婚姻色 (2)

婚姻色になるとビックリするほど変わる魚を取り上げているが、改めて見てみるとスズメダイ類が多い。 通常の体色(白枠)と比べると別人?(ラジャアンパット) テンジクスズメダイもすごい変身ぶりに、最初はわからなかったほど。しばらく観察していたら次第…

変身!? 驚きの婚姻色 (1)

主にオスがメスの気を引くために体色を変化させるのが婚姻色。なぜか婚姻色にならない種もいるが、ここでは別種と見間違うほど変わる婚姻色の魚を取り上げる。 婚姻色のクロソラスズメダイ。白枠内は通常色(慶良間) クロソラスズメダイを撮影していたら、…

カメラマン泣かせの魚を撮る(2)

臆病な魚には細心の注意を払い、駆け引きをして近寄るのだが、それでも撮れない場合が多い。しかし、難なく接近できて撮れてしまうこともごく稀にある。 スミレヤッコ(奄美) スミレヤッコは断崖の壁やオーバーハングのような所に生息している。壁伝いに移…

カメラマン泣かせの魚を撮る(1)

魚は種類によって性格が異なる。 まったく人を恐れない魚がいる一方で、すぐに逃げたり隠れたりする魚も少なくない。沖縄では昔「追い込み網」が盛んだったため、警戒心が強くなったようだ。魚を脅して網に追い込む漁なのだから…。 ナンヨウハギ(奄美) 最…

『ニッポン潜水グラフィティ』出版記念会

昨夜、須賀次郎氏の出版記念会が行われた。月刊ダイバーに連載されていた「ニッポン潜水グラフィティ」が単行本(成山堂書店発行)になったのだ。 挨拶される須賀次郎氏と著書 須賀氏は現在79歳。昔から潜水器材・撮影機材の開発をはじめ、海洋調査、潜水教…

ハタとウツボの不思議な関係

ナショナルジオグラフィックのメールマガジンに「ハタとウツボ、協力して狩り」という論文の記事が。ハタの仲間のスジアラは、獲物が亀裂の中にいて捕まえられないとき、体を揺らしてウツボの前を通過する。獲物を亀裂から追い出して欲しいと「依頼」してい…

ギンポの魅力的なアングルとは!?

ギンポ類は被写体として人気がある。可愛いというのが最大の理由だが、角度によってはそう見えないこともある。中には何も考えず、接近できたので撮ったという人も多いはず。そこでヒトスジギンポを例に、魅力的なアングルを探ってみよう。 ヒトスジギンポ …

雌雄差が少ない魚の見分け方

以前、クマノミのオスとメスの相違点を書いたら、初めて知ったという人が意外に多かった。ダイビング経験豊富でも知らない人がいたので、関心があるなしで違ってくるのだろう。 ヨメゴチのメス。左白枠内がオス そこで今度はオス、メスの違いがほとんど知ら…

奄美・気になる魚たち(最終回)

日本で稀種とされる魚が奄美では普通に見られる。前も取り上げたネオンテンジクダイやニセクラカオスズメダイ、クロリボンスズメダイ、ヤスジチョウチョウウオなど熱帯性の魚もそうなので、実に不思議だ。 日本ではごく稀なヤスジチョウチョウウオ これらの…

あのフグがついに新種!

奄美・気になる魚たち(最終回)を予定していたが、きのう朗報が飛び込んできたので順番を入れ替えることにした。 ミステリーサークルとそれをつくるフグ 奄美大島の海底で発見されたミステリーサークル。NHK「ダーウィンが来た!」で長期ロケを行い、放送後…

奄美・気になる魚たち(5)

珍しい魚が数多く見られる奄美だが、訪れるダイバーは沖縄と比べると圧倒的に少ない。交通の便や割高な航空運賃が主な理由だが、マンタのような大物が少ないというのもあるような気がする。 通常は岩陰にいるが、なぜか出てきてくれた アカククリの若魚がい…

奄美・気になる魚たち(4)

奄美で最も好きなポイントは「三角岩」。変化に富む地形で魚種が豊富ということが好きな理由だろうか。ただ潮が速いことが多いので、潜れる機会はそう多くない。 オーバーハングのイソバナ類。地形も魅力的 潮通しがよいのでサンゴ礁の棚の上は、ブダイ類や…

奄美・気になる魚たち(3)

奄美南部で代表的なポイントは「嘉鉄(かてつ)」。広い砂地に根が点在するという環境。明るいうえに根にはたくさんの魚が見られるので人気がある。最近では沖にミステリーサークルが見られるため、注目されている。 ハマクマノミの周りに小魚が ブイのそば…

奄美・気になる魚たち(2)

今回の奄美は、ミステリーサークルの観察・撮影も目的の一つ。ミステリーサークルは繁殖期にしかできないので、8月下旬が見納めになる。 ミステリーサークル。オスが卵の世話をしている ミステリーサークルは二つあったが、どちらも産卵は終わっていた。産卵…